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筆保銀香です

三題噺置き場。縦書きの。段落のところの1マス空きが変なのはご容赦ください。

三題噺:床下の女

その日の「みやこや」は慌ただしかった。部屋で指名した花魁を待っていたが、来る気配が全くない。今日みたいな日は花魁としっとり遊びたいと思っていたが、それも難しそうだと、嶋之助は酒を呑みながら考えていた。 半刻ほど待った頃か、店の者が戸を開け、…

三題噺:あなただけ

泳いでいる魚。牧場にいる豚。小屋の中にいる鳥。 私たちが「食べ物」として扱っている「生き物」たちを眺めていても、私はそれを「食べてみたい」なんて思ったことがない。 クラスメイトの池本君。背は男子の平均くらい、中肉中背。 どこにでもいそうな人な…

てっちゃん

このおでこにキスをしたい。夏美は今年小学生になったばかりの従兄弟の鉄次に対して、そんな気持ちを抱いた。

ミミズ苦

森の中を駆ける一人の男。男は必死に息を切らしながら出鱈目に走る。息を吐いて吸っての繰り返しの合間に「くそ! ちくしょう!」と毒づく。男は苦しんでいた。彼の頭の中はわけのわからないものが這いずり回っていた。しかし、それは彼にしかわからない。

電気椅子探偵

件名:stoooooove! きみは知っている。いや、知っているはずだ。なのに、なぜか気づいていない。 冬だけじゃないんだよ。春夏秋冬いつだって、きみは燃やしやすいものなんだ。 なのに、きみときたら。燃えやすいものと燃やしやすいものを一緒にしている。 ス…

私はどこで朝食を

A.M.5:30。冬の、まだ朝陽も昇っていない時間に、私は紙袋を片手に商店街を歩く。商店街だけでなく、まだ街も目を覚ましていない。そんな時間に私はただ独り歩く。 まるで映画の一シーンみたいだ。

不器用な子

美術の時間、横の席を見ると、クラスメイトの木下が血を流していた。指先に開いた小さな傷から流れていく血を、私と木下はただ呆然と眺めていた。その血は指の裏側に回り込んで、机の上にあった白い画用紙の上におちた。

ほんの小さな反逆心

私は不細工です。目が細くて、鼻が低くて、吹き出物だらけの顔。こんな顔でも、美女の多い埼玉生まれなんです。

あまい

あ、白だ。 クラスの女の子、カナちゃんのお腹の肌色の中、色が剥げて白色になっているところが見えた。

蔵の女

蔵の中に女がいる。そんな逸話をいろいろと聞いてきたが、俺の女が一番美しいと思う。

彼女にとって

「私の居場所になって」 そう言われてから、僕は彼女の「居場所」となった。 「あなたは私の大事な人よ」 そっと僕の背中に頬を寄せた彼女が言った。「あなたは私の大事な人」 そう言われてから、僕は彼女の大事な「人」となった。 ぱんっ、と気持ちの良い音…

人間椅子の所

人でいたくない。物でもいたくない。どこにもいたくない。そう思いながら今日も誰かに座られる。

ドーナツ処刑台

僕の理想はただの理想でしかなくて、僕の現実だけが現実的すぎて泣けてくる。僕は死にたいんだ。ただ、死にたいだけなんだ。

愚かな若者たち

なんとなく、エッセイ的なものを書こう。三題噺という何が出てくるかわからない魔法のランプみたいなものでエッセイというのも場違いかもしれないけれど、とにかく今日はそんな気分で。

シンデレラガール

私、シンデレラのお話から抜け出すことのできたない十四歳。冬の森の中で、くまさんに出会わないように、お菓子の家の魔女を探しています。このままおばあちゃんの家に行って、おおかみさんに騙されてもいいけど、でも、やっぱり素敵な王子様に出会いたいの!

ほらよ、女子高生だ

マックには女子高生がやって来る。それは、普通の笑い声と不満気な愚痴をもらす口を持った普通の女子高生だけでなく、近所のアニメイトやとらのあなの戦利品を広げる女子高生や、校則なんてものに縛られないライオンのような色の髪をした女子高生まで多岐に…

アニメチック

嗚呼、ツインテールだ。顔を上げると、目の前にバカバカしいツインテールが存在していた。